かつては『呆け老人』…認知症への理解は進んだか 「居場所と役割」が重要(福井新聞ONLINE)

情報元 : かつては『呆け老人』…認知症への理解は進んだか 「居場所と役割」が重要(福井新聞ONLINE)福井新聞社https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180814-00010002-fukui-l18
 1980年にできた全国組織「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事(福井県敦賀市)に、認知症の人が安心して暮らせる社会の在り方について聞いた。2025年には日本の高齢者の5人に1人が認知症という時代を見据え「社会の第一線から離れても、何らかの居場所、役割を持ってもらえる受け皿が必要」と訴えた。10月28日には同県福井市で、同会主催の全国研究集会を開く。鈴木代表は「病気の理解を深めるとともに行政、民間、地域がつながり支え合う社会実現のきっかけとしたい」と意気込みを語った。
 ―認知症に対する市民の理解は。
 「会設立当時は病気という理解がなかった。家族、特に介護を担うお嫁さんの対応が悪いから、ぼけてしまうんだという感覚だった。設立時の組織名は『呆け老人をかかえる家族の会』だった。認知症の人は、特別養護老人ホームにも入れなかった。当時に比べれば理解は進んでいる。ただ病気の進行を目の当たりにする家族の悩みの深さは昔も今も変わらない」
 「これまで国に対して約70回、意見書や提言書を出してきた。家族だけでは介護しきれない、社会的支援が必要だと一貫して主張してきた。われわれの主張によってできた制度もある」
 ―認知症の人が自ら声を上げることについて。
 「初期の段階で認知症と分かるようになったから可能になった。認知症の人も普通の人なんだ、ということを知ってもらう点で意味がある。本人の悩みを周囲が理解する一助にもなる」
 ―若年性認知症の場合、仕事の確保が大きな課題だが。
 「熟練した技術を持っているなら、それを生かしつつ、苦手な部分はほかの人と組んで、ということは可能ではないか。ある地域では自動車メーカーと連携し、若年性の人に洗車をお願いしている。道具の使い方を覚えれば、作業は難しくない」
 「病気が進行すれば通勤の車にも乗れなくなる。鉄道やバス利用の場合、交通事業者の協力が必要になる。会社だけでなく、社会全体で考えるべき問題であり、簡単ではない」
 ―認知症の人の徘徊が問題になっている。
 「見守りつつも、自由に外に出ることは保証してあげたい。一方で、例えばJR北陸線は、人が線路に入れる場所がいくつもある。事故に遭う可能性が高く、危険を防ぐインフラ整備が必要」
 ―認知症の人たちと共に生きていく社会とは。
 「人間は必ず衰える。第一線から離れ、行くところもなくなり、家でぽつんとするのは、認知症という病気にとってマイナスだ。何らかの居場所があり、役割を持って生きられる社会を目指すべき。そのためには、効率性を重視した社会観、人生観を変えるぐらいの大きな覚悟が必要になる」
 ―10月に福井市で全国集会がある。
 「地域の皆さんには認知症を考えるきっかけにしてほしい。認知症の人たちが安心して暮らせる社会を目指し行政、民間、地域が連携するきっかけにしたい」

地域
福井-敦賀市