アスリートの摂食障害 極端な減量 心身むしばむ 選手生命縮む危険も 治療専念の環境を(上毛新聞)

情報元 : アスリートの摂食障害 極端な減量 心身むしばむ 選手生命縮む危険も 治療専念の環境を(上毛新聞)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181221-00010000-jomo-l10
 過食と嘔吐(おうと)を繰り返したり、食事をほとんど取らなくなったりする摂食障害。万引したとして窃盗罪に問われ、前橋地裁太田支部で猶予判決を受けた元マラソン日本代表の原裕美子さん(36)は現役時代に発症し、現在も治療を続ける。厳しい体重管理に心身をむしばまれるアスリートは珍しくない。専門家は「極端な食事制限はかえって選手生命を縮めることになる」と警鐘を鳴らす。
 「1日に4~6回の体重測定があり、何グラム増やしてはいけないと決まっていた」。原さんは今月3日の判決後に開いた記者会見で、実業団時代に強いられた過酷な減量を明かした。「ペットをしつけるような」管理とは裏腹に、食べ物への執着が強くなったという。
 善悪の判断がつかなくなるという摂食障害の恐ろしさを語り、「幼い頃から体重管理をしたり、無理をさせたりするチームは多い。指導者は選手を長い目で見て、自分のように苦しむ選手を出さないでほしい」と訴えた。
 高校、大学で陸上部に所属した群馬県内の20代女性は「監督の前で体重計に乗るのが嫌だった」と振り返る。もともと食欲旺盛だったが、高校では体重が増えるのを恐れて食べられなくなり激やせ。その後、隠れて大食いするようになり、15キロほど太った。
 大学でも食欲は抑えられず、周りには吐いて体形を維持する部員もいた。「食べちゃ駄目、と頭ごなしに言われるから余計食べたくなる。なぜ体重管理しなくてはいけないのか、選手に分かるような丁寧な指導が必要ではないか」と話した。
 高崎健康福祉大の木村典代(みちよ)教授(スポーツ栄養学)は「過酷な食事制限は栄養素の不足を起こし、免疫力や気力、判断力まで低下させる。食べることは頑張った褒美でもあり、結果的に選手生命の維持につながる」と指摘した。
 体重測定や食事制限をあえてしないのは、ヤマダ電機陸上競技部女子中長距離部門の森川賢一監督(60)だ。体形や感覚の変化を基に本人が管理するよう指導しており、「ストイックで真面目な選手ほど摂食障害になりやすい。指導者も選手も、やせないと走れないという意識から脱却しなければいけない」と強調する。
 原さんは「摂食障害を絶対に治す」と宣言、治せる病気だと伝えていきたいとした。摂食障害を克服し、これまで約90人の相談に応じてきた沢崎聡子さん(25)=高崎市=は「摂食障害はいくつかの原因が重なって発症する場合が多く、複合的な治療が必要。原さんのように本人が覚悟を決め、周りが治療に専念できる環境をつくってあげることが大事」と話す。

地域
群馬-高崎市