「施設の子、忘れないで」 駅伝沿道の箱根恵明学園が移転(カナロコ by 神奈川新聞)

情報元 : 「施設の子、忘れないで」 駅伝沿道の箱根恵明学園が移転(カナロコ by 神奈川新聞)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190101-00032340-kana-l14
 東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の中継で子どもたちが沿道から選手を応援する様子が毎年紹介されてきた神奈川県箱根町小涌谷の児童養護施設「箱根恵明学園」。2019年春の移転に伴い、施設前での応援は1月2、3日開催の今大会で最後になる。関係者は「箱根駅伝のおかげでたくさんの人たちに学園の存在を知ってもらった」と感謝するとともに、「移転しても、親元を離れて正月を過ごす子どもたちがいることを忘れないで」と願っている。
 同園は1946年、東京都世田谷区で、戦争孤児のための乳児院として発足し、東京や横浜で生まれた子どもたちを保護したのが始まり。手狭になり49年に箱根の現在の地に移転した。虐待や経済的理由などから親元で暮らすことができない2~18歳の男女43人(18年12月29日時点)が生活している。
 「正月は箱根駅伝と共にあった」と園長の田崎吾郎さん(65)は話す。例年、年末には職員手作りの応援看板を外に出し、1月2日は昼食を終えた頃、3日は朝から、子どもたちと職員が沿道に繰り出し、トランペットや太鼓などを使って応援してきた。
 田崎さんは「往路では力強く山を上り、復路では光のように去って行く選手の姿に感動をもらってきた。たくさんのドラマを見てきた」。駅伝を毎年間近で見てきた子どもたちもまた、陸上競技に精を出すなど「いい刺激を受けてきたと思う」と話す。
 約70年にわたって箱根駅伝を学園挙げて応援し続けてきたが、建物の老朽化や設備拡充のため来春、約1・5キロ離れた同町の宮ノ下地区に移転する。
 移転先は箱根駅伝のコースからは外れており、再来年以降は近くの沿道から応援する予定だ。田崎さんはコースを離れることに一抹の寂しさを覚えるとともに、「この平和で豊かな時代に児童養護施設があり、親元を離れて正月を過ごす子どもがいるということを、世の中の人に忘れないでほしい」と語る。
 かつては、箱根駅伝で学園が紹介されることが、戦争孤児の子どもたちにとって親や親戚に見つけてもらうアピールの機会だった。近年は、学園の存在を社会に訴える機会になると、田崎さんは考えてきた。
 初代園長が抱いた「いつか箱根恵明学園出身の選手が箱根駅伝を走る姿を見たい」との夢は、田崎さんの夢でもある。しかし、子どもたちの大学進学自体が難しいのが実情で、「経済的な問題をはじめ、高い壁がある」と感じている。
 「もともとは戦争が発端の児童養護施設だが、少子化の時代でも施設の数は減っていない。家庭や親が、子どもにとっていかに大切か。施設の存在を通じて少しでも多くの人たちに感じてもらえたら」

地域
神奈川-横浜市