「ここはドラマの世界か」児童養護施設副園長が回顧

情報元 : 「ここはドラマの世界か」児童養護施設副園長が回顧
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 あるユニットの夕食後。女の子たちがテレビやカードゲームでくつろぐ。

 「インフルエンザはやってるの?」「鈴音ちゃん、お風呂入ってよー」。洗い物をしながら、洗濯物をたたみながら、それとなく気配り。すべて頭に入っている。これまで送り出した子もみんな。

 鈴木まや。児童養護施設「尼崎市尼崎学園」(神戸市北区)の副園長を務める。現場一筋で、いい時もつらい事件も見続けてきた。始まりは、小学生時代にまでさかのぼる。

 父の仕事の都合で転校を繰り返した。行く先々に偶然、児童養護施設の子がいた。親しくなった。人生の中に施設の子がいるのは自然なことだった。

 自身はラジオで「全国こども電話相談室」を聞くような優等生タイプ。でも不良と呼ばれる子たちとも不思議と打ち解けた。彼ら、彼女らの多くが貧しさや家族関係のしんどさを抱えていた。それを分かってもらえない苦しさも。耳を傾け、共有するうち、関心に変わった。大学と大学院で教育心理学を学び、「子どもと関わる仕事に就く」と決めていた。

 就職活動中、知人の勧めで尼学を訪れた。園内に入ると、幼い2人が笑顔で案内してくれた。この時、決めた。幼児教育大手の内定を断り、尼学を選んだ。

 驚きの連続だった。「ここはドラマの世界か」。当時は大集団で生活する大舎制。寮のように厳しいルール。出生の分からない子がいた。不登校の子もたくさん。ガラスはしょっちゅう割れた。

 一人一人に何が必要か。ルールを守れない子はどんな生い立ちがあるのか。どうすれば、あなたは大切な存在だと伝わるのか。20年以上、追い求めてきた。だから今、施設は鈴木がいるだけで安心感に包まれる。

 そんな鈴木が忘れられないことがある。「敗北」と呼ぶ、ある少女の出来事だ。(敬称略、子どもは仮名)

(記事・岡西篤志、土井秀人、小谷千穂、写真・三津山朋彦)

地域
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