難民の現実、克明に フォトジャーナリスト久保田さんが著書出版(岐阜新聞Web)

情報元 : 難民の現実、克明に フォトジャーナリスト久保田さんが著書出版(岐阜新聞Web)岐阜新聞社https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190122-00107741-gifuweb-l21
 シリアやイラクなどの紛争地や難民を取材してきた岐阜県大垣市出身のフォトジャーナリスト久保田弘信さん=東京都=が今月、初の著書「世界のいまを伝えたい」(汐文社刊)を出版した。20年以上に及ぶ戦争取材を盛り込んだ同書を手に、「危険な上に赤字続きでも、多くの人との出会い、つながりが生まれたから続けることができた」と振り返った。
 フリーカメラマンだった1998年、好奇心からアフガン難民キャンプを訪れたことが、ジャーナリズムに転じるきっかけに。「最後まで責任を持って追い続けたい」とパキスタンやアフガニスタンに通い詰めた。
 それでも、食料や医療が届かないキャンプで、次々と亡くなる子どもを撮影するのはつらかったという。「人の不幸を売るハイエナなのかと自問自答もした。だが、より多くの子どもを救うためには心苦しくても撮るのが使命だと気付いた」
 9・11同時多発テロ後のアフガン戦争では、イスラム原理主義組織タリバンの本拠地に入り込み、イラク戦争ではバグダッドの空爆を決死の思いでリポート。生死が紙一重の戦場、戦禍の中で生きる人々、そして祖国を奪われた難民の姿にレンズを向けてきた。
 「彼らが懸命に生きる姿を通して、戦争の愚かさや悲惨さを世に訴えることができる」という考えからだ。
 シリアで拘束されたジャーナリスト安田純平さん解放の際には自己責任論が再燃したが、後書きでは「僕は危険をおかしてでも取材に向かう。(中略)報道すると、例えば難民に支援の手が差し伸べられるようになるなど”何かが変わる”」と現地に赴く必要性を説いた。
 こうした取材を続ける動機として、両親の離婚で貧困やいじめを体験した自身の少年時代に理由を見出す。「この環境が、人の痛みがわかる人間に育ててくれた」
 同書では、物理学者を夢見た中学時代、教育実習での母校再訪など郷里・大垣の思い出にも触れている。四六判、207ページ。小学生高学年から読めるよう平易な文章にしてルビも振った。
 子どもたちには「世界には戦争や貧しさで勉強ができない子どもたちがいる。本を読んで世界の大変さを感じたならば、学んだスキルでそれを変える力になる仕事に就いて世界に恩返しをしてほしい」と期待している。

地域
岐阜-大垣市